Alfa Romeo Junior
2024年4月10日にアルファロメオ待望のコンパクトカートとして華々しくワールドプレミアされた新型アルファロメオ 「ミラノ」。メーカーとしても想像以上の市場反響が起き、一時はミラノを紹介するメーカーサイトのサーバーがダウンする騒ぎにもなった模様です。
ポジティブな反響もあれば、ネガティブな反応もあるのは、どのメーカーのどんなモデルにでもつきもの。ただ、このミラノの反響は凄まじく、もっとも大きい反響の一つだったのが、MILANOというイタリアの都市名を車名として勝手に使用することへの違法性をイタリア政府に問われたというものもあり、特にこの件に関しては、イタリアのモーターファンを越えて、イタリア中での問題に発展してしまった様です。
そこで、アルファロメオを包括するステランティスグループとしては、その対策のひとつとして、モデル名である「MILANO」を「JUNIOR」に変更する検討を始めたそうで、この新型ミラノの生い立ちも含め、どれくらいのイタリア国内外のファンがこのミラノ、、、いや、ジュニアの登場を待ち望んていたのかが伺えます。
Alfa Romeo Junior の起源となる Junior の名前はAlfa Romeoにとって大切にされてきた歴史がありその起源は初代ジュリアの大成功を受けてアルファロメオがリリースしたクーペモデル、ジュリア スプリント GTまで遡る。このクーペは工業デザインの巨匠ジウジアーロがベルトーネの為にデザインしたモデルですが、アルファロメオは、もっと若い客層に向け広く愛されるモデルを用意する為に1966年9月26日にリリースしたのが、GT 1300 Juniorでした。ヒット作「ジュリア」の名を捨て、新世代のアルファロメオを体現する為に用意されたモデルという意味ではアルファロメにとっては、この新たな新世代コンパクトSUVに「Junior」の名前をあらためて用意するのは、なんとなくより自然なネーミングになった気もします。
モデル名あれこれ
アルファロメオは「間違いなくアルファロメオ史の中に深く刻まれる出来事」としながらも、ローンチ後のモデル名変更は初めての事ではなく、その例に1966年にリリースされた、「スパイダー 1600」を市場の声を反映する形で後に「デュエット」へ変更していると説明しています。
ミラノというネーミングが違法であると政府から指摘されるも、イタリアのアルファファンにとっては、「何をいまさら」という感じで受け止めている様で、彼らから真っ先にあがる話の一つとして、Alfa 75のV6モデルをアメリカ市場に投入する際にアメリカの法規に適合させた特別な75を「Alfa Milano」としてデビューさせていてそれを揶揄する関連動画がYouTubeなどで一斉にアップされています。
このお名前騒動。個人的に思い出すのは、第二世代のパンダ騒動です。アルファロメオのグループ元、FIATから2003年にリリースされた二代目フィアット パンダで、この「パンダ」という名前はフィアットとしては使用するつもりは全くなく、「GINGO(ジンゴ)」という名前でデビューさせる予定でした。それを見たルノー陣営が、自社のコンパクトカー「Twingo」(トゥインゴ)と音が似ていて紛らわしいと抗議を入れたのを発端に、ジンゴでのリリースを取りやめた騒ぎがありました。この時も発売間近の時期であったので、CMやカタログなども「GINGO」ロゴのものが既にしっかりと用意され、各ディーラーへ配布されていていました。当時、「もう要らないから」と言われ、トリノでディーラーを経営する友人から貰ったGINGOのカタログを面白いと思い保管しているものが、今もウチの書棚にささっていたりします。
話を新型「ジュニア」に戻して、そもそもこの新型車に用意されていた候補がどうやら3つ存在した様です。その一つが今回取り沙汰された「MILANO」で、二つ目が初代としてスマッシュヒットモデルとなった「MiTo」、そして最後の3つ目の候補が「Junior」だった様です。
歴代のアルファのモデルにも「Junior」という名前はグレードや特別仕様車として使われて来て、トップグレードのスポイラー類を纏ったスポーティーな外観にできる限り小排気量で軽量なエンジンを組み合わせたモデルに使われる傾向が強いネームでした。似た感じを他メーカーで探すと、BMWのMスポーツは車高やサスセッティング、メルセデスのAMGラインにいたってはワイド化されたボディなど大きな変更が伴うのでニュアンスが変わってくるので、どちらかといえばVWでいう 「Rライン」、アウディの「Sライン」などが、そのネームの使われ方に近いかもしれません。初代のGT Juniorへ原点回帰し、今回晴れて独立したモデル名となりそうです。
それにしても、発表から5日もしないうちに取り下げられそうになっている「MILANO」。企画やロゴ制作に携わったディレクターさんやデザイナーさん達にとって、さぞ悔しい思いを抱え週末を過ごされたかとその心中を想像するだけで胸が痛みます。、、、とはいえ、ミラノよりもこっちのジュニアの方がアルファらしいエッセンスを感じますよね。
みなさんは、どう思われますか?
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