Alfa146 | ザ・ラスト ボクサーアルファ

Alfa Romeo

Alfa Romeo146ってどんなクルマ?

Alfa146 1.4TS 後期型/ フランスのリヨンまで仕事でお出かけ

どうせ仕事クルマを選ぶなら、ちょっとスパイスの効いたクルマを選んてみようかな、、、と思った方や日本には正規輸入されなかったアルファロメオが気になるという方に、少し昔にイタリアで仕事クルマとして自分で乗っていたAlfa146 について書いてみようと思います。

思い入れの強いクルマで書き始めると長くなりそうなので、今回は当時のAlfa146を取り囲んでいた背景に軽く触れながら、あらためてAlfa146ってどんなクルマだったのかを振り返ってみようと思います。

Alfa146デビュー当時のイタリア事情

当時(2006年ごろ)所有していたAlfa146がニューモデルとしてデビューしたのは1995年。その前の年には3ドアハッチバックモデルのAlfa145の華々しいデビューがありました。先代モデルにあたるAlfa33スポーツワゴンの後継としてワゴンボディでのデビューとなるのかと思いきや、5ドアハッチバックモデルとして登場したのは、当時の兄弟車(?)フィアット・ブラーボ(3ドアハッチ)/ブラーバ(5ドアハッチ)のシャーシ、ボディ骨格ベースに開発が進んだんだろうなという、「大人の事情」というものを感じる登場でした。

Alfa164、フィアット・クローマ、ランチア・テーマ、サーブ・9000の4ブランドをまたいだ、4兄弟の絶妙な作り分けで大成功を収めたフィアットグループ。「(今回も)その作り分け技をコンパクトカーのカテゴリーで存分に発揮したな!」と、街ゆく車好きイタリア人はカフェのカウンターでエスプレッソ片手に胸を張って語り合っていました。

ボローニャモーターショーで実車を初見したときの様子。(当時のものなので画像が荒くてすみません、、、)
特徴的な146のリアスタイル。水平対向エンジンとしてトップグレードの1.7 16V のモデルシグニチャーが誇らしげ。

実際に、ティーポ後継としてデビューした兄弟車フィアット・ブラーバは先進的でいて、どこか優しいボディラインも美しかったものの、そのアルファロメオ版もどこからどうみてもアルファらしいデザインでの登場は当時とても新鮮で、みているだけでワクワクしました。私の実車初見はボローニャのモーターショーでしたが、あまりのカッコ良さに息を呑んで眺めていたのをすごく良く覚えています。

ザ・ラストボクサー アルファ

そして、イタリアのアルフィスタ達から大歓迎されたもう一つの理由が、先代Alfa33後期型からエンジンを基本的にキャリーオーバーされた事でした。アルファの魂はまだ沈まない!など雑誌でもかなりもてはやされていたのを覚えています。そのくらい当時のイタリアのアルファロメオといえば「モトーレ・ボクサー!(水平対向エンジンだ!)」と誰もが答えるアルファのシンボル的な存在でした。アルファロメオがアルファロメたる条件のひとつと当時思われていたのが、この水平対向エンジンだったのです。

このことの反対の例として、Alfa145/146に先立ってデビューしていたAlfa155が、イタリアのアルファ推しの人々からどこか「これじゃない」感のあるクルマとして扱われていた大きな理由のひとつが、この水平対向であるボクサーエンジンを捨て直列4気筒エンジンを搭載したことだったと思います。ツインスパークという1気筒あたり2つのスパークプラグを使う贅沢な次世代エンジンであったのにも関わらず、、、です。

個人的には大好きなAlfa155。今見てもカッコイイのに。。。

イタリア入りしたばかりの頃の私は、まだ各イタリアンブランドに対するイタリア人のイメージや意味合いといった部分を全く理解していなかったので、日本人の私からすれば、Alfa155のイタリアでの不当な扱いもさる事ながら、せっかくの新型車の心臓が旧モデルのエンジンキャリーオーバー「なのに」、がっかりするどころか狂喜乱舞しているイタリア人が不思議でなりませんでした。

、、、が、それについては、アルファの旧車乗りの方々なら当然だろうという部分だということを後々私も知ることとなります。その話は、キャブレター仕様の水平対向エンジンを搭載していたAlfa33 スポーツワゴン前期型のステアリングを初めて握った時に、その訳をことごとく理解することとなります。でも、それについてはまた別の機会に。

友人であるアルファロメオ・メカニック所有の146中期(左)とウチの146(右)。前後スポイラー形状や内装デザインに違いがあります。

魅惑のエンジンラインアップ

華々しいデビューの後、イタリアでの有鉛ガソリン(日本ではとっくに無鉛ガソリンオンリーでした)の販売停止が発表され、Alfa33の前期型などに搭載されていた水平対向エンジンのキャブレター仕様車などの日常使いがいよいよ危ぶまれて来ます。

それと同時にジワジワとガソリン価格が高騰してきた頃に、アルファロメオの水平対向エンジン群の燃費の悪さや、同型のエンジンがヨーロッパ共通の排ガス規制をどうやらクリア出来そうにないことを理由にAlfa146も泣く泣く水平対向エンジンと別れを告げ、直列4気筒ツインスパークエンジンを搭載した中期型へとバトンタッチします。この時に若干の化粧直しを施されているので、後期型と合わせて3種類の外観が存在します。一方、内装に関しては前期、中期までが共通で、後期型に丸型のアルファらしいエアコン吹き出し口が復活するなど、手直しが入り、2種類の内装仕様が存在します。

ぱっと見はみんな同じに見えるAlfa146は、トップグレードのTIも追加されてスポイラーを装着されたり、そのスポイラーのみを装着した、いわばTIルックのJunior(ユニオール)も設定され色々なバリエーションと仕様が設定され実にラインアップ豊かです。

Alfa145の1年後にデビューしたAlfa146は、「新車で買える最後の水平対向エンンジン搭載アルファ」と言われ、今でも語り継がれています。中期型からはAlfa155で培われた4気筒ツインスパークエンジン群も採用され、さらに後期型の最終期にはAlfa156に初搭載され、瞬く間に官能ターボディーゼルとイタリア中で絶賛された、1.9 JTDエンジンもAlfa146に惜しげもなく搭載されています。こうしてアルファの代表的な4気筒は全て搭載された感のある、Alfa146。振り返ってみると前期、中期そして後期それぞれに捨てがたい魅力と特徴があります。

最後に

そんなわけで、後にBMW入りしてその名を世界に名を轟かす事になる、巨匠クリスバングルが手がけたと言われるアルファらしいデザイン、そして軽いボディとトルクフルな伝統のボクサーエンジンを搭載したAlfa145/146ですが、こうして振り返ってみると人気が出ないわけがないですね。。。

次回はそんなAlfa146を、少し忘れかけられたタイミングで手に入れた時の話を綴ってみたいと思います。

つづく。。

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